妊娠中に発症もしくは、はじめて発見された糖尿病をいう。
病態としては妊娠中期以降、相対的なインスリンの作用不足のため、高血糖が出現するものと考えられる。

妊娠糖尿病は、胎児側には、奇形、低血糖、黄疸、呼吸障害、過体重児母体には、妊娠中毒症、切迫流産羊水過多症の合併症が起こりやすい。

妊娠糖尿病のスクリーニングは糖負荷試験で行う。妊娠時、診察所見、既往歴で妊娠糖尿を疑わせる所見があれば、糖負荷試験を行う。週齢とともに、耐糖能異常の発症頻度が高まるので、妊娠中期以降も必要な場合は糖負荷試験を実施する。

発見後、ただちに管理を開始する妊娠糖尿病には境界型などの軽度の耐糖能異常も含まれるが、糖尿病に準じた厳重な血糖コントロールを行う。

既に糖尿病を発症し、薬物治療をしている方に関しては「計画妊娠」となる。
胎児の先天奇形にとって重大な妊娠3ヶ月までの時期に、母体は妊娠に気がついていないことが多い。経口血糖降下剤の催奇形性、乳汁移行に関しては不明な点が多い。妊娠前、妊娠中を通してインスリン治療が原則となる。妊娠前にインスリンで、十分な血糖コントロールを得てから「受胎」を許可する。

増殖性の糖尿病性網膜症がある場合は光凝固を行って、沈静化してから妊娠を許可する。進行した糖尿病性腎症合併の場合は、妊娠を控える。妊娠糖尿病の女性は、分娩後、耐糖能が正常化しても、後に高率に2型糖尿病を発症する。

妊娠時に診断された明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)
以下のいずれかを満たした場合に診断する。

  1. 空腹時血糖値 ≧ 126mg/dl
     
  2. HbA1C ≧ 6.5%(HbA1C(JDS) ≧ 6.1%)(※)
     
  3. 確実な糖尿病網膜症が存在する場合
     
  4. 随時血糖値 ≧ 200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値 ≧ 200mg/dlの場合(※)

※いずれの場合も空腹時血糖かHbA1Cで確認



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